MEMO

ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。

Mar.2010 5

『ひな祭りパーリー』

3月3日。美術館目当てに上京してきた母と、たまたま都合がついた姉妹とで<ランチ→お茶→買い出し→料理→夕飯>という予定を一日がけで遂行し、それとなく桃の節句を祝おうとしていた。

ゆっくり料理、夕飯、と考えていたのにお茶の段階で会話に弾みがついて随分時間が経ってしまい、慌てて買い物へ。

桜色のワイン、真っ赤に熟れた苺、各種チーズ、クラッカーなどを購入。ここまではなかなか「らしい」感じであった。しかし久しぶりの母の料理ということで、感覚が麻痺して
しまったのか「野菜のたくさん入った汁物食べたい」「魚を煮て欲しい」と普通の要望で買い物カゴにいろいろいれてしまったのがまずかったのか……。料理して出来上がった食卓の彩りに、一同おののいた。


桜色のワイン(これは雰囲気として大正解)
苺(これも○)
チーズ(みなさん)
クラッカー(準備はいいですか?)
野沢菜の漬け物(!)
ゆず大根(……だって美味しいから)
煮魚(お頭の付いてないただの甘鯛の煮付け)
豚汁(具沢山、暖まりますっ、ひな祭りなんて気にしな
い!)


な、なんだこれは。しかも中央の花瓶には桃でも梅でも桜でもなく、チョコレート色のラナンキュラス……。最早ひな祭りというより、普通の食卓として異常な取り揃え。フォローとしては、多分みんな、熱心にいろいろと話し過ぎてちょっと疲れていたのだ。

まぁまぁとりあえず乾杯。箸を付ければ勿論そこは美味しくおふくろの味。いつものご飯より体が吸収していく気がするのだから、 母親の作る料理とは不思議なものだ。 ワイン
(ソーダ割り)もはんなりとした桜の香りが春らしく、宴は盛り上がっていった。


と、そこへメール着信。お世話になっている編集さんから
だった。業務連絡と共に『ハッピーひな祭り!』と挨拶が付いていたので『ハッピーひな祭り! 三人官女(三姉妹)とお雛様(母)とで、それとなくひな祭りパーティーを催しています。』と返した。すると一行のメールが送られてきた。

「わぁ、右大臣、そこに行きたい!」

読んだ瞬間、頭の中には中途半端な(きっと安いナイロンで変にてろてろの生地でできた、合わせの部分をマジックテープで止めるような)コスプレをした知り合い十五人からなるなんちゃって七段雛が集って、ここにある妙な取り合わせの食卓を紙皿片手に割り箸でつつく姿が展開。

左大臣が甘鯛の煮付けをもぐもぐ、三人官女はほかほか炊きたてのご飯片手に野沢菜の漬け物しょりしょり、「ゆず大根もっといかが?」とお雛様。「あ、いただきます」と仕丁
衆。「ねぇやっぱり誰かビールも買ってきてよ」と豚汁をよそいながら右大臣。そんなことはお構いなしにワインの酔いがまわった五人囃子は賑々しい祭り囃子と腹踊りを……。


目眩がして気分が悪くなった。ひな祭りって、こんな近所の寄り合いみたいな感じだったかな? もっとかわいい感じ
じゃなかったか? こんな奇怪な想像が膨らんでしまうの
は、やはりばらけきったメニューが原因なんだろうか。


来年は断固、ちらし寿司にすまし汁だっ!


携帯を閉じながら、密かに、しかし固い決心をした。

2010.03.05 Fri.

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