MEMO

ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。

Aug.2007 6

『銀紙の行方』


夕方の帰宅時間、つり革に掴まる事すら遠慮してしまう程の混みっぷりの地下鉄。人の数もさることながら、活動後のそれぞれの疲れの気配が隙間を埋めて、益々密度の上がった車内。電車にはちょくちょく乗るけれど、この時間帯の地下鉄は二年ぶりくらいだったでしょうか。
あ、帰宅ラッシュの地下鉄ってすごく久しぶりだ、と気づいて落ち着かない気持ちになりました。
自分は人混みの中で、いつもどう過ごしていたのか?
団体の中に居る時特有のしょうもない自意識過剰に陥って、意識的に無意識な風を装いながら代わり映えのしない真っ暗なコンクリートが流れる車窓を眺めるうちに、なんだか息苦しくなってきた。うーん早く終点に着いてくれ。

と、視界の隅にちらっと光るものが。
注視すると左隣の男性の肘からの発光でした。ガムか飴を包んでいた銀紙の屑が、湿気と圧力によって会社のデスクからここまで肘にしがみついてきたのでしょう。

「あの、肘に銀紙付いてますよ」

咄嗟にそう言いそうになったけど、いや、ちょっと待てよ。
こんな人混みでそんなこと言ってもよいのかしらん?自分は気にしないけど、大人の男性は銀紙の付着程度の事を指摘されたらイヤかもしれないぞ。ならば小声でこっそりと告げる……?もしくはいっそご本人にすら気づかれないように取れないものか……。悶々。
結局、何の行動もしない内に車両は終点の駅へと滑り込み、あ、と思う間もなく銀紙の男性は遥か前方の人混みにとけて行ってしまわれました。右肘に銀紙を付けたまま。

寝る前に、あの銀紙はどのタイミングで肘から離脱したか思い浮かべてみる。自分で気づいたか。自然に落ちたか。

こんなどうでもよい出来事でも、事の顛末を知れないというのは想像力がかき立てられてちょっとわくわくしますね。
でも次はちゃんと言うぞー。

2007.08.06 Mon.

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