MEMO

ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。

Oct.200712

『不穏な中身』


休日の夕方はゆったり外でお食事する人が多いのか、比較的空いているスーパー。客層も微妙に変わっていて、夕飯の献立を決めかねているのか空っぽの買い物カゴをぶら下げて、ふらふらしている若い(と言っても私と同じくらいの)男女なんかは、週末以外はなかなか見かけないお客さんだ。このパターンでいくと、周りの空気も桃色に見まがう程の仲良しっぷりか、家族にも似た雰囲気か、少々険悪か、大体どれかにカテゴライズ出来る。今日出会った二人は、険悪のフォルダに分類された。

女の子は不機嫌だし、男の子は面倒くさそうだった。買い物カゴには笹カマボコと板チョコのみ。カゴの中身からして不協和音が聞こえる。何があったか知らないけど、可哀相だなと思った。だってこんな空気でご飯を食べたらきっと美味しくない。美味しくないご飯はなによりも不幸だ。人事ながらご飯前に和やかになるとよいな、と願った。

レジに着く直前、卵を忘れた事に気付き、カゴを往来の邪魔にならないところへ置かせてもらって、卵売り場の方へ戻った。そこでまたその男女と遭遇したのだが、明らかに状況が悪化している。男の子はため息をつき、女の子の眉間には皺。んー、これはご飯前に仲直りどころではないかな、と思ったが、まぁ、そんな日もあるさー、と横をすり抜ける。その耳に聞こえてきた女の子の台詞は一言一句違わずこうだった。

「っていうかさぁ、ムカつく事言ってもいーぃ?」

こら!いい訳ないだろう!と頭の中で見知らぬおじさん(私が作った厳格な親父さんのイメージ。恐らく先だって読んでいた某エッセイの影響)が喚いて、静脈が切れんばかりに顔を真っ赤にしている。そうだよ。よくないよ。どんな状況だろうが相手を不快にさせるとわかっている事を、わざわざ予告して言う必要はないだろう。その分別があるなら止めるべきだ。まして休日の夕飯前だよ、美味しくご飯を食べる為に止めとこうよ。な、青年、言ってやれ!優しく諭せ!
しかし青年はただ黙して彼女の後をぼつぼつ付いて行く。
何故だー、青年。君が全て悪いのか。

釈然としないものの、どうやきもきしようが当人達にしかわからないことなんだから、と自分を納得させて卵を手に、再びレジに並んだ。

しかし帰りのタクシーに揺られながら、どうしても考えてしまう。あの後どうなっただろう。沈静化しただろうか、更に激化の一途を辿っただろうか。激化していた場合、やはり彼女優勢なんだろうか。その際、ひたすらだんまりの彼に業を煮やした彼女が投げつける食材が、板チョコでなく、笹カマだったらやわらかい分少し救われるか。
そうでもないか。

2007.10.12 Fri.

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