MEMO
ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。
Mar.200831
『午睡の幸せ』
よく晴れた空の下、やわらかな草の上に寝転んで、直径が自分の身の丈程ある風船を膨らませる。
水色の大きな風船にゆっくりとまろやかな空気が吹き込まれていく。徐々に膨らむ風船。増していく体積に反比例して軽く、存在感も甘く。絵の具チューブから出したてのようなぽってりした風船の色が空気を孕み透き通り、直に輪郭が空の青に滲み始める。
気持ちよく膨らみきったところで、静かに吹き込み口を結わいて封をし、風船にも気付かれない様に、自分自身も半分無意識のうちに、そっと。やんわり手放す。
昇っていく風船。真上にある太陽からの光を遮って頭上に薄い影をつくり、奥に流れていく雲を写しながらゆらゆら、ふうわり、昇っていく。
じっと眺めるうちに昇っていっているのは風船なのか、自分なのか、わからなくなる。見下ろそうと思えば眠っている自分を見つけられるのではないかと目線を下げようとするも、何故かその方向には視線を移せない。目に映るのはゆっくりと、一定の速度で自分を包囲していく空の映像。ひたすら上昇し、空に馴染んでいく実感。
まぁいいや。
このまま風船として空にとけるのもいいじゃない、うん。
そう決めた途端に、「そろそろスタンバイお願いします」、との声がかかり、目を開けるとそこに空はなく、数十センチ先に車内の天井、ぼやけた灰色。鼻に届くは今しがた食べ終えて脇に寄せたお弁当のにおい。
はーいすぐに行きます、と返事をしながら時計を見ると正味5、6分の浮遊であったことが判明する。もっと長い旅だったような気がするけど、と思いながらコートを羽織り車から降りて、睡眠前より少しだけ軽くなった体で昼後の撮影に向かう。
この仕事、朝早かったり夜遅かったりで大変なこともまぁまぁあるけど、「昼寝」出来るって言うのがいいよねぇ。普通の会社勤めだったらまず出来ないもんねぇ。
と撮影に携わって十年の人が言っていた。私はこの意見に激しく賛成です。その代償として、もともとタイトなスケジュールの中寝る為の時間をこさえようとすると若干早食いになってしまうのがナンですが、昼寝にはその価値がある。そして、働いてる時の昼寝が一番本質的で良質だと思う。
そんな仕事中限定の「充実昼寝生活」もひとまず終わりを迎えたわけで。前回のメモの通り撮影が終わって色々な事が惜しまれる中、この「充実昼寝生活」はやはり仕事中でないと得難いという事をここ数日で改めて認識し、その生活から離脱してしまった事が一番惜しいかも、という気がしている。
いえ、どうあっても、昼寝はしますがね。
2008.03.31 Mon.
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