MEMO

ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。

Jun.200830

『シッケ・ダイスキー』

湿気が好きです。髪がうねろうが、洗濯物が乾きにくかろうが、食べかけのおせんべいを齧ってパリッという音が返ってこなかろうが、構いません。

洗いものしても手がカサつかないぞーっ。喉も痛くないぞーっ。目薬持ち歩かなくてもコンタクトはうるうるだーっ。
という身体的な理由もあるのですが、梅雨真っ盛りの頃に生まれたせいなのかなんなのか、気持ちもたっぷりと潤って、この時期はいつも元気いっぱい。

換気の為に開け放ておいたけど、冷えてきたからそろそろ、と窓を閉めカーテンを引こうとすると、カーテンが冷たい。水しぶきが飛んだわけでもないのに湿っている。
うおお。湿気として浮遊している水分子が、カーテンの繊維質に潜り込んだわけだ。やったね!

という具合に、湿気を応援する気持ちさえある。例えその湿りのせいでいつもより早くパンにカビが生えたって、舌打ちなんかしない。湿気の特性を知りながら愚かしくもパンを残していた自分が悪いと思う。

ふと、ここらでひとつ、大声で公言してもよいのではないかと思って、雨で煙る町に向い、ベランダから叫んでみた。


「湿気大好きーーー!」


……おかしい。なんだか心地よくない。もう少し爽やかに。
「湿気ダーイスキー!」
うわ。全然だめだ。どうやったらいい具合に、本当に好きな感じに聞こえるのかしら……?

試す事数パターン。結局未熟な私には、この台詞を爽やかかつ実感を込めて言うことはできませんでした。何度言ってもその言葉を二日放置したら、ビリジアンかサーモンピンクのスポットが毛玉のように繁殖しそう。カビそう。

もともとの台詞の構造とシチュエーションがおかしい(この少し前、昼食のチキンソテーを作る際に白ワインでフランベしたため、そのアルコールを少し吸引してしまって、微妙に酔ったのかやたらいい気分だった)のですが、このような不自然に偏った不必要な台詞でも、ベテランの先輩の手腕にかかるとそんなことはないのです。声が渋いあの俳優さんや、横顔が美しいあの女優さんにこの台詞を言って頂いて、帰着点を見つけて欲しいなぁ。うふふ。

と誰にも有益でない事を考え出したところで、鼻提灯がぱちんと割れたようにびくっと正気に戻り、ご近所さんに見られたらまずいのでそそくさと部屋に引っ込みました。

ああ、ここまで打っただけで湿気って手がぺとぺとする。
でも、湿気大スキー。

2008.06.30 Mon.

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