MEMO

ミムラが見たり、聞いたり、感じた事を気ままに書くコラムです。

Mar.2010 2

『さらば黒子』

黒子をとることにした。

小さな頃からずっと左の額にあったものが二十歳を過ぎたことから隆起しはじめ、一年ほど前からファンデーションをのせると特大の吹き出物のように見えるようになったので、
とってしまおうかとマネージャーと話していたのだ。

そこにあって当たり前のものを無くすことにはやや違和感もあり、しばらく悩んだ。

しかしそうは言っても顔面をさらす仕事に就いていて、演じる役によっては明らかに邪魔になってきた。メイクという技術の根本から考えても、有るものを無いように見せることは難しく、無いものを足すことは意外と無理なく出来るのだ。そこへもっての地デジ化の追い風。もうハラを決めた方がいいようだ。

よし、じゃあとろうかと決めて病院をマネージャーに紹介して貰い、いよいよ前夜。

寝る前、鏡ごしにまじまじと額の黒子を眺めて無くなったらどうなるのか、来たるべく十数時間後の未来を想像してみ
る。そしてふと、胸にある金魚のカタチの痣をとる女の子の話を思い出した(どなたの短編だったかな)。実際にとってしまってから、思いもかけず寂しい気持ちになる描写があ
り、胸の金魚を恋しく思うのだ。

私の額の黒子は変わったカタチではないし、無用どころか支障があるからとるのだけれど。それでも、こんなちっぽけなものでもやはり体の一部だから喪失感があるかもしれない。

そう、別れることに決めてにはじめて気がついたことだが、私は額の黒子が気に入っていたようである。他の黒子に置き換えて考えてみると、そこまで思い入れはない。少し特別なものだったようだ。(視線の軸となる目に近いところにあるというのも理由のひとつでしょうか)

もし寂しくなったら、某女性歌手のようになんちゃって黒子を書き続けついには色素沈着でもって本物とするか、はたまた入れ墨か。まぁそれもいいんじゃないかな。うん。とにかくお別れするのだ。さらば、黒子。


なんて納得をしたフリをしてベッドへ入ったですが……。なんだか緊張してそわそわ、結局浅い眠りのまま朝を迎えて寝不足クマ顔で病院へ向かったのでした。

2010.03.02 Tue.

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