初夏に『高橋是清』『一路』の撮影を終え、真夏は『後妻業』(久しぶりの鶴橋監督、お会い出来て嬉しかった)、『カノン』と映画撮影が続いておりました。年の前半は怪我(舞台稽古時の例の肋骨)の都合でゆったりスケジュールにしたにも関わらず、オファーが続きありがたく楽しい夏でした。夏休みはなかったですが、どの撮影にも多々思い出ができました。
特に、『カノン』の撮影で数週間滞在した富山県、石川県。今も時々見渡す限りの稲田のさざめきや、潮の香混じる雨上がりの空気を思い返し、恋しさを募らせ日々を過ごしております。太平洋側とはまた違った日本海が瞼に残り、同じような色のジャケットを購入してしまったり。
地元メディアの方々にも応援して頂き、撮影協力や炊き出しが大変ありがたかったです。去る9月25日には、北日本新聞にて詳細なインタビューも載せて頂きました。大きなスペースを割いて頂き感謝。
ただ一点だけ、事実と異なる記載がありました。以下に訂正させて頂きます。
URLからは会員以外は冒頭しか読めないとのことで、ご担当の記者様より許可を頂戴し該当部分を引用させて頂きます。
引用元 http://webun.jp/item/7217088
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「自分自身の体験を生かしながら、限界まで演じ切ることができた」。ミムラは夫から精神的な虐待を受け、一人でもがき苦しむ紫を熱演した。
3姉妹は、親の愛情を十分に感じられないままに育ってきた。その反動なのか、紫は結婚後「幸せな家庭」を築こうと必死になる。ところが、夫から人格を否定するような言葉を浴びせられ、心身共に疲れ果てていく…。
ミムラ自身、20代半ばの時、プライベートで自分の尊厳を踏みにじられるような経験をしたという。台本を読んで、今回の役柄と当時の心情がどこかで重なるような気がした。役作りに当たり、雑賀俊朗監督と語り合っていると「自分の体験を利用しない役者はひきょうだ」と言われた。(以下略)
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訂正部分は、末尾の「『自分の体験を利用しない役者はひきょうだ』と言われた。」。
これは20代半ばの出来事を踏まえ掲げた、<私個人の信条>です。今回の役に限ったことでなく、また監督から言われてそのようにしたわけではありませんでした。
監督からはむしろ逆のお気遣いを頂きました。打ち合わせで私が過去の経験とそこからの持論をお話しし、「今回も使えるものは使いますね」と宣言すると「いやいや、どうか無理せずに」と。現場でも信頼して役柄を任せて下さり、私からの提案も度々快く採用して下さるフランクな撮影形態だったので、演技プランや役作りの上で何か強要されたわけではありません。
雑賀監督がそんな演出で強引な方と思われてはいけませんので、ここに訂正させて頂きます。
当然、記者さんが気軽に作ったということでもなく、事実確認をしたところインタビューの文意を取り違えたのが原因だそうです。
確かに、取材当日は撮影最終日で「次の機会に」という選択はない中、台風の暴風雨でスケジュールが変動的でした。お待たせしたり逆にちょっと早めて頂いたりと終始こちらの撮影都合に合わせて下さり、その上で予定外に時間に余裕が出たので、長めのインタビューとなったのです。
記者さんは今回の映画について独自に考察なされ、多々興味深い質問をして下さり、私も非常に楽しくお話させて頂きました。そこで出た発言を熱心に沢山メモされていらしたので、なるほど、整理し直すうちにこの誤差が出たのだろうと合点がいきました。
新聞のインタビュー記事は後々まで本人の言葉として残る物。「広まり易く収束は困難という今のご時勢、事実と異なるものの放置はいけない」という考えからの今回の訂正を、丁重なお詫びと共にご快諾くださった記者さん、ありがとうございました。
さて、「なんだか細かいことを……」とお思いにならないでください。そんな映画の中身は? 富山の自然に抱かれて、三姉妹でとあれこれ話しながら撮影してきた私も今から試写を楽しみにしています。大事な要素であるピアノの練習も楽しく、目隠ししてもほぼノーミスで弾けるところまで撮影前に仕上げ。前述の通り自分の経験も含め使えるものは全投入しましたので、あとの味付けは監督次第です。
ではおしまいにこの夏以降、秋からの出演作のお話を。
今はまたWOWOW『連続ドラマW 5人のジュンコ』、NHKBS時代劇『大岡越前3』と2つの連続ドラマ撮影に誠意参加中。まだ開示出来ませんが、とあるスペシャルドラマと民放の連続ドラマ撮影も控えております。映画は双方来年の公開。
さらにマネージャーの初営業が実を結び、念願の執筆連載枠(なんと毎週連載! 大変そうだけど楽しみです)も頂ける運びとなり、ワクワクと新しい日々を飛び越えています。毎月マネージャーと二人で決めることになっている3つの目標も、9月は「超多忙が予想されるので自己管理を徹底、風邪をひかない」というのが筆頭でした。お互い達成してホッとしておりますが、気を抜かずに10月も一生懸命に頑張って参ります。
冒頭に繋がることですが、オファーを頂いたからには「ミムラを指名して良かった」と常になりますよう勉強と稽古などの修練、役に対する理解と真摯な向き合い、執筆のスピードなど技術が向上する努力を絶やさないようにしなければと、これらも<私個人の信条>です。映像作品や執筆内容をご覧いただいている方々へも伝わるといいなぁ。
家事をやるにも、勉強にも、行楽にも、そして勿論仕事にも。なんでも気分よくできるシーズン、朝晩の寒暖差や一雨ごとの冬の気配に気を向けつつ、皆さん秋を楽しんでくださいませ。 ではまた。
2015.10.02 Fri.
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