舞台「人間風車」、東京千秋楽を迎えました。まだ先があるとはいえ、ここまで無事にやってこられてよかったと一安心。劇場まで足をお運びくださった方々に厚く御礼申し上げます。
「前に休めた日はいつだったか」と記憶すら定かでなく、それでも体調管理は抜かりなく行っていたのでずっと変わらず元気な私。送迎が主な仕事だったマネージャーの方が先に休みが必要になり、後半何日かは一人で劇場へ行ったりしておりました。そんな東京公演後、久々に味わった休日のお話。
以前撮影で訪れたところへ、夫とデートに行くことがあります。各作品、ロケ班スタッフの方々が一生懸命情報を集め、資料を繰って足を使って探し、ご交渉くださった映像映えする素敵な場所の数々。プライベートで訪れるのも楽しい場所ばかりです。
我が家では1日のうち、多くの時間を夫婦の会話に費やします。夫は経験値の高い理系ビジネスマンなので、色々なことを教えてくれます。理系のネタから仕事のコツ、各ニュースの読み方、注意点など。大学講師もしていたので、教え上手は折り紙付き。夫は夫で、私が読書から得た話や、現場で経験したあれこれ、演じる上での新発見など、じっと耳を傾けてくれます。教え上手は聞き上手。
業界で「普通」となっていることが、他のビジネス観点では「驚き」となることも多いので、こういった会話は本当に大事です。知った上で選択していくことと、知らずに流されるのでは結果は大きく違います。夫の話は応用範囲が広いのが特徴で、「へぇ、そういうものなんだぁ」と軽い気持ちで実行に移してみると、驚くほどの成果が出ます。今までのあれはなんだったのだ、と目から鱗が落ちることも多く、笑い顔の夫がのんびりとした口調で語る内容は、いつも刺激的で私を夢中にさせます。
数ヶ月ぶりにドラマ等にて演じている人物が一人(というか一役)だけになった、束の間の休息日。外出して風にあたりながら、夫とゆっくり話して食事し、帰宅後には読書・映画鑑賞の時間。このコラムを書いている今日、デートという名目で、また一歩、人生勉強を進めた1日でした。
どれほど忙しくとも、私の仕事は常にエンターテインメントのため。幅広い意味で皆さんに楽しんで頂くために力を尽くしたいと考え、それは自身にとっても実に楽しいことで趣味さえ兼ねています。夫がピーク時に抱えていた命のかかるシビアさ、時に海外出張も多数のハードな仕事の比較にもなりません。
それでも夫は「作品で人の心に触れられるのは素晴らしい事、がんばって」と常に役者業を応援してくれます。自分がどれほど多忙でも、1日何度も洗濯してくれたり、私の好きな食材を買って家で迎えてくれるのです。帰宅時には家の植物たちと間接照明をあしらって、私の張りつめた気がゆるむようにという配慮まで……。
いやはや、これ以上の環境はありませんから、この恩恵に泥をかけぬよう、どの仕事にも身が入るというものです。残る舞台9公演も、きっとお客様を楽しませるぞと張り切っています。
一見惚気のようですが、ひた走る仕事街道、その裏手である私道とありがたき伴走者のご紹介でした。
さーて、大河ドラマの勉強も腰を据えて始めます。来年の別の仕事も準備にかかります。新しい執筆依頼もいくつかあり幸甚です。先行して原稿をお渡ししていた連載群にも新たな原稿を執筆しましたが、各都市公演への行き帰り移動時間やホテルでは、まだまだ作業詰めとなりそう。でも本を読む仕事は嬉しいなぁ。きっちり仕事しつつ、読書の秋も堪能しようと思います。
2017.10.12 Thu.
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