昼は金色に輝く陽光に縁取られ、夜はコオロギの合唱、天高く馬も肥ゆる秋ですが、私は体脂肪が5%落ちて体重が5kg増えました。つまり筋肉質になったわけですね(笑)。体積的にはウエストはゆるくなり、太ももやふくらはぎは確実に成長。稽古序盤に一の腕のサイズを測って作っていただいた小物も、終盤に出来上がってきた物へ腕を通したら右だけ入らなくなっていたり……(これには再調整が必要となり、大変申し訳ない)。振り返って鏡で見ると背筋の盛り上がりもなかなかです。
面白かったのが一定の運動で身長まで伸びたようで、暫く振りにお会いした共演中の竹野内豊さんはじめ、「この声をきみに」スタッフからも「あれ……ミムラさん背が高くなった?」とご指摘が……。見た目だけかもしれませんが、元々「男だったらこの体質は得だったなぁ」という筋肉のつきやすさを誇る私。今回は初の立ち回りシーンのため、模擬刀まで購入して、自宅だけでなく事務所の練習場まで借り、毎日の稽古前に数時間、汗だくになるまで自主練習を重ねたので、体は順応するんだなぁと感慨深いです。この下支えをもとに、各公演ゆるがぬ本番を観客の皆さまへお届けしたいと、毎日張り切っております。
稽古では発見と納得、楽しい学びの日々を過ごしました。舞台二度目の私は、実際劇場に入ってお客様から意識を注がれることにより、さらに養分を得ているところです。勿論いちプロとしてばっちり完成させたものを提供しているのですが、客席から返ってくる情報量の多さは静寂の中でも濃密で、毎公演アップグレードしていかないと勿体無い。その贅沢な環境が心底嬉しく、毎公演終えるたびに笑ってしまいます。稽古でやってきた基本を忠実に行いつつ、広がりが持てるよう回を重ねていきたいと思います。
そうそう、10月5日舞台公演後のアフタートークでお話しした内容で、共演者のお二方に不思議がられた点。<舞台上であわや大怪我必須の事故に遭ったのに無傷で済んだので、お世話になったと感じた神様に御礼のお供え物をした>という件です。生来私はとても運が良く、危機一髪で助かることも多いのです。そんな時いつも「また助けてもらったなぁ」と感じます。特別な信仰があるわけではなく無宗教ですが、日本古来の“八百万の神様”たちへ感謝している姿勢なので、当然お供え物も「何がお好きかな」と考える次第です。人様に御礼の品を差し上げる時と同じ感覚で、当たり前にやってきたことなのですけれど、お客様からも笑い声が多かったので、珍しいことなのでしょうか?
もしこれを読んで「へぇ」と思われたら、何かの折には御礼を試してみるといいですよ?。「自分は運が悪い」と嘆く人は、このあたりがルーズだと私は感じています。神様を信じることはさておき(繰り返しになりますが、私は無宗教)、礼節は重んじるに限ります。そして本当に怖いのは生きている人間の方。作品を観ていただければ言わずもがなですね。
もう一点。二度目の大河ドラマ出演も決まりました。
大久保正助(のちの利通)の妻、大久保満寿役。出演が決まると「おめでとうございます」と祝って頂けるのが大河ドラマ。出演者や内容を見るにつけ「面白そうだなぁ。出演したいけどもうこの時期では声はかからないか」と感じていた折のオファーで、本当に飛び上がって喜びました。運が良いのはこのあたりにも発揮されていますね。
一度目の大河出演では細川ガラシャ(たま)役で、彼女がこの世を去る回、劇的なその最期を「自分が演出したい!」と複数の演出家が挙手してくださっていたとか。実際にガラシャの「姫の十字架」回をご担当、彼女の心情を細やかに掬い取った映像を実現くださったのは野田雄介監督。今回は『西郷どん』のチーフ監督であり、またお会いできて光栄でした。まだ私の撮影参加は先ですが、実在の人物、日本の歴史をしっかりと体現するべく準備中です。脚本家の中園さんによると、満寿はとても興味深い女性だそうで、私もワクワクしています。どうぞお楽しみに。
夏の疲れも出てくるこの季節、秋雨で冷え込む日もあるので体調には耳を澄まし、色々なことを楽しんでくださいませ。TVや舞台の鑑賞もおおいにオススメですが、読書も是非! (このたび書評コラムが一つ増え、執筆連載が三つになりました。)
2017.10.06 fri.
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