葉物野菜の高値に驚きつつ、月を眺めれば秋を感じる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は自分の心臓ににょっきり脚が生え、あちこち走り回ってずっと数センチ浮き上がっているような日々です。常に楽しく前のめりに勢い付き、夢現でありながら意識は明晰というエネルギー循環。これは長く続けられるものではないぞと感じつつ、この期間だけは踏ん張ると決め、集中しております。
「舞台の稽古・本番に平行して連ドラ1+0.5本撮影」ということで、二度目の舞台を踏もうという人間にはナカナカの状況です。スケジュールも隙間のないパズル状態、早朝出発で数時間だけドラマ撮影をして移動中にストレッチやなんやの準備をし、そのまま稽古7時間×数日、その合間に京都にも何度か。あまつさえ稽古・本番中の休みもドラマへ全渡し必須で、青葉の落ちる頃まで休みはほぼ0という……。
初回の舞台稽古時は日程の希望が叶わず、準備不足で稽古終盤に骨折をして万全の体調を逃し悔しい思いをしましたので、以前にも増して「どうしても必要なので」と根拠付きで頼み込み、体調調整のリハビリ・トレーニング時間は確保。その分睡眠など自由な時間はなくなりますが、安心のためには必須。各所が許容してくださって確保が叶ったので、ありがたく思っています。
怪我を含め、過密スケジュールで体に不調を起こさないよう注力しながら、冬の入り口まで走ろうと思います。
じりじり台本を待ち構え、思い切り取っ組み合いだした舞台の稽古は、難しく楽しく本番が待ち遠しい。舞台に慣れた出演者の方々に比べると当然手持ちの道具は少ない状態ですが、出来ないことのもどかしさの裏で、いくつか出来ることの喜びがくっきり浮かび上あがり、苦あれば楽ありだなぁという実感に浸っております。そして性格的に出来ないことがあると、あれやこれやと工夫を重ね“下手の横好き”傾向になるので、自主練に取り組んでいる時間も楽しく、結局ずっと楽しいのでした。
ちょっと困るのは元々素面で笑い上戸なところ、寝不足とアドレナリンの補助でより笑いやすい状態に……。笑いで多くの「快」を得ているお陰様で精神的疲労は消し飛んでおり、楽しい現場で本当によかったと感謝。ここで頂いている余剰分をさらに作品へ注げるよう、稽古中盤以降を過ごしたいと思います。
「この役はミムラさんにお願いしたい」と、特定の方から名指しされたお仕事は断りたくないもの。出演したかったドラマへの参加も叶い、出演継続中のドラマにも顔を出せる喜び。来年の仕事もいくつか決まってきています。また執筆系では、レギュラーとして参加している2つの連載以外も、雑誌での新規連載開始と新聞での10日間連載、単発の文芸誌4000文字エッセイなど。
「明日の予定を考えられるだけで幸せ」という感慨も湧くような世界情勢です。気になることは山とありますが、皆様も必要なことへ注ぐ実り多き秋をお過ごしくださいませ。私は今しばらく、田植え、害虫駆除、収穫、種籾確保と繰り返すような仕事の日々になりますが、行き帰りの車窓から移りゆく季節を吸い込んで、日常も忘れずに画面や舞台上、紙面へ反映させたいと思います。どうぞお楽しみに。
追伸:本日9月8日22時スタートのNHKドラマ「この声をきみに」は、朗読教室が舞台となっております。演出上映像的な工夫も多く凝らされた作品ですが、目を閉じて音だけに集中して“聴く”楽しみ方もオススメです。作品の性質上、声にこだわって集められた出演者という。朗読シーンの暁には、脚本家の大森さんも聴いてくださっていたというNHKラジオ国語総合での経験を、存分に活かしたく思います。
2017.09.08 fri.
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