12月を迎える前に、冬が迎えにきたという寒さ。皆様お風邪など召されていないでしょうか。私は素敵なダウンジャケットも見つけ、大好きな冬を楽しんでおります(季節はどれも好き)。
 ほぼ休みのなかった夏~秋を終え、マネジャーも上司の命令で1週間休んでいたとかで、多忙が基本の芸能事務所としても異例の処置。それほど働いたということですね。私も(トータル1万文字ほどの執筆をこなしつつ、)しばらく休養期間として夫と旅をしてきました。四季のある日本、晩秋の旅もいいものですねぇ。ドライブの途中思いがけず初雪も踏んで、年甲斐もなくはしゃいでしまった我々夫婦でした。


 今月頭まであった舞台の回想を少し。
 6都市を巡る公演では、各ホールの規模・構造・材質によって音の飛び方が違うので、各土地、自腹で前倒しに宿泊し、ホールのチェックへ行きました。セットの建て込みをやっている最中なので邪魔しないようにこっそりと。それでも多くのスタッフの方々の手によりセットが出来上がり、本番のために何十回も機材の確認を重ねている様子を見ると、毎回違う土地で、“いつもと同じに”完成した舞台に立つ、そのありがたさと責任を感じます。

 あとは宿泊施設と合間の食事の質の高さも、大変にありがたかったです。きっとこれらの手配業務を経験した方は痛感されると思うのですが、高ければいいというものでもなく、同額予算内でも選択によって質が大きく左右される部分。考えて選んでくださったんだなぁとありがたく、主催者の方々や制作の方々へ感謝の想いです。快適な環境をありがとうございました。

 さて、そんな感じで終えた今回、色々と思うことがありました。

 お客様と対面してお芝居をすることの喜びは、何にも代えがたい。役者にとっての最大級の喜びがあるのは間違いありません。費やす時間との比率から考えても、一瞬の芝居にかかる貴重性は高くなります。それがチケット代金に反映されている。
 初回時に夢中で駆け抜けた稽古・本番と比べ、全てに余裕を持ち、多作品に関わっても薄まることなく、むしろ集中して冴えた状態で周囲を観察できた二度目の今回。「もしや」と感じていたことへ発見が重なり腑に落ちる件もあって、移動中や寝る前に一人で考える時間も多かったです。

 おっと、こんな抽象的な書き方をすると「稽古後みんなで行くご飯」など、舞台の伝統的?なことかと思われてしまいますね(笑)そうではありません。過密スケジュール中で物理的にお誘いに乗れない日も多く、後半は夏からの蓄積疲労による蕁麻疹その他で休養が必要な状態でしたが、時間調整をして複数回は楽しく参加しました。
 もっと個人的な考えによるもの。十年後くらいにガラッと景色が変わってお話しできるかもしれませんが、なんでも詳らかにすればよろしいということでもありません。こればっかりは私の意志というより時代の流れに因るでしょうか。


 と。
 そんなことを書いておきながら、三度目の舞台のお話です。
 ついにきた! 向田邦子作品。
 その上初の二人芝居となる『家族熱』。

 うひゃーと武者震いしながら、向田作品の勉強をし直している現在です。向田邦子賞受賞経験のある木皿泉さん作品、『昨夜のカレー、明日のパン』にて共演した溝端淳平さんがパートナー。多数の言葉を交わす中、二人で彩り豊かな時空を創る作業がとても楽しみです。
 はじめて向田邦子さんを演じた作品『おまえなしでは生きていけない ~猫を愛した芸術家の物語~ 向田邦子篇』において、ご依頼をくださったプロデューサー合津さん。その好評から二度目の『トットてれび』依頼を頂戴した流れですから、世界観はお墨付き。今回も向田さんの妹・和子さんから御快諾いただき、『家族熱』の三年後を描きます。

 舞台『家族熱』リリース用に書いた意気込みコメント。
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 過去に二度、演じさせて頂いた向田邦子さん。彼女の文章の大ファンであり、映像作品も多数観てきた私は、大事なご報告の際はお墓へ参ります。「あの『家族熱』を二人芝居で演じます」とお伝えしたら、向田さん、あの悪戯っぽい含み笑いで、なんと仰るでしょう。
 以前ドラマで共演し、もっと多くの台詞をやり取りしてみたいと感じていた溝端淳平さん。そして一度目の向田邦子役の依頼を下さったプロデューサー合津さんと共に、“家族”という狭く見えて底なしの囲いの中で、縦横無尽に”熱”を発してみたいと思います。
 皆様を向田作品世界の深部へお連れできるよう、心血を注いで臨みます。どうぞご期待くださいませ。
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 大河の方言その他歴史の勉強、それ以外にもう一作。執筆は連載3つのほかにもう一つ取り組み中。来年を見越した課題が多くあるので、勉強好きとして腕が鳴るところです。必要分の休養を経て気力を補填したので、またしばらく走ります。

2017.11.28 Tue.


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